分子イメージングとは




分子イメージングの受託サービス

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分子イメージングとは

 分子イメージングとは、特殊な目印をつけた薬剤を動物(または細胞)に投与して、専用のカメラで撮像することにより、薬剤がどこにあるかを画像化、数値化する技術のことです。目印をつけた薬剤(分子)の分布を画像化(イメージング)するため、分子イメージングと呼ばれます。動物が生きている状態で撮像することができますが、全身切片、組織切片や培養細胞を撮像することも可能です。それぞれ撮像装置が異なります。
 解剖による分布の数値化(いわゆるbiodistribution)と比べて、簡単に全身の分布を確認でき、予期せぬ箇所への集積の見落としが少なくなります。

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目印って?どうやってつけるの?

 目印として、放射線を放出する核種(放射性同位元素)または蛍光を発する標識薬を使います。それぞれ放射性標識、蛍光標識と呼ばれます。放射性標識の方法は、使用する放射性同位体のタイプによって様々です。標識試薬が販売されている事もあります。蛍光標識は、各社より標識用の試薬キットが販売されており、主にタンパク質や抗体を簡単に標識することが出来ます。

放射性標識と蛍光標識の違いは?

 どちらも、薬剤の体内分布を確認するために標識しますので、用途としてはあまり変わりませんが、それぞれ以下のような特徴があります。
 蛍光標識は、標識に使う蛍光物質の分子が大きいため、低分子化合物を標識した場合には大きく構造が変わり、物性が著しく変化してしまう可能性があります。
 放射性標識は主に以下の3通りの方法があります。

  • 通常の元素(19F等)を放射性同位体(18F等)に置き換える方法:物性はほぼ変化しません。
  • 放射性同位元素のついたパーツを導入する方法:物性が少し変わってしまいますが、蛍光物質に比べると変化は少なめです。
  • キレート配位子を導入した後に放射性同位元体の金属を導入する方法:蛍光標識と同じ様に大きく構造や物性が変わってしまう可能性があります。

放射性同位体って?

 ある元素の同位体(中性子の数が異なるもの)の中で、放射線を放出して放射性崩壊するもののことを放射性同位体と呼びます。放射線と聞くと少し怖いイメージがありますが、天然にも存在しますし、既にヒトの診断薬や治療薬に使用されているものもあります。
 放出する放射線の種類によってα核種(α線を放出)、β核種(β-線を放出)、PET核種(β+線を放出)、γ核種(γ線を放出)などと呼ばれます。β+線を放出するものがPET核種と呼ばれるのは、陽電子断層撮像(Positron Emission Tomography)の頭文字をとったPETに使用されるためです。
 β+線は陽電子線のことで、すぐに周囲の物質の電子と対消滅し、特定のエネルギーの2本のγ線(511 keV)を反対方向に放出するという特殊な性質を持ちます。崩壊形式自体はβ+崩壊ですが、その特徴から、特別な性質のγ核種という認識が近いのではないでしょうか。
 また、γ核種は、単一光子放射断層撮影(Single photon emission computed tomography)の頭文字をとったSPECTに使用されるため、SPECT核種とも呼ばれます。
 これらの放射線は物質の透過力に差があり、α線は紙1枚、β線は数ミリのアルミ板で止まってしまうため、in vivoイメージングに使用されるのは通常γ線(PET核種、SPECT核種)です。
 ex vivoのイメージング(切片のイメージング、解剖によるbiodistribution試験等)にはβ核種を用いることもあります。

PETとSPECTって?蛍光イメージングとの違いは?

 PETとSPECTは、放射性標識された薬剤から放出されるγ線を検出することで、体のどこに、どのくらいの薬剤が溜まっているかを画像化します。
 性能的な違いは、感度や解像度にあります。PETカメラは、PET核種から放出されるポジトロンが消滅して生じる対方向の2本のγ線を検出します。これに対し、SPECTでは入射角度を絞るためにコリメータと呼ばれる穴を通りぬけてきたものだけを検出します。この原理の違いのため、PETはSPECTに比べ、感度が高く、また定量性に優れていると言われています。
PET-SPECT.001-001.png ただし、PET核種の半減期が短いものが多くサイクロトロンという機械を必要とする事が多いためハードルが高く、あえて小動物用のPETカメラを所持している施設は少ない様です。
 半減期とは、放射線を放出して崩壊し、残量が半分になるまでの時間のことです。これが短いと、薬剤の合成や輸送を行っている間にどんどん減ってしまうため、病院や研究所で使用直前に放射性同位体を作る必要があります。
 SPECT核種はPET核種に比べ半減期が長いものが多くデリバーが可能です。色々な薬剤が市販されており、サイクロトロンを必要としないため多くの病院で使用されています。
 一方、蛍光イメージングは蛍光標識した薬剤を投与し、励起光を照射、放出された蛍光を測定して画像化します。遮光していれば長期間保存することが出来ます。ただし、これらの波長は生体を数ミリ~数センチメートルしか透過出来ないため、ヒトの検査にはほぼ使用されません。小動物での試験にはよく使用されますが、体表面からの距離によって蛍光の強さが変わってきてしまうため、定量性はPETに比べて低くなります。

結局どれがいいの?

 自施設で実施する場合は使用可能な装置に標識方法を合わせるのが鉄則です。これまで分子イメージングについて説明しましたが、まずは、イメージングが必要なのか、数値化するだけで良いのかをお考え下さい。
 以下に、弊社で受託試験を行う場合の選択方法の例をお示しします。弊社では、委託していただく前に、まずは目的をお伺いして適切な方法を御提案させて頂いております。下表の要素に加えて、先行論文の内容、薬剤の分子量、標識可能な部位等を考慮し、適切な方法を選択致します。

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